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JALスカイアンバサダーが紹介する 鹿児島のエレガンス

2015年3月31日 • 特集
広々とした庭園から望む桜島は息をのむ美しさ、そして、隣接する切子工場の薩摩切子はため息をつく美しさ、私は大好きです。

JALスカイアンバサダー(鹿児島)塩村 絵(SHIOMURA KAI)万環玄亀 いとなみのエレガンス

東博_松林図屏風(左隻)LL_C0028019.X1

薩摩切子 株式会社島津興業 薩摩ガラス工芸

世界の薩摩

江戸時代の日本は、決して鎖国していたのではなく、海外との交流を制限していたのです。例えば江戸時代唯一の貿易地として幕府が築いた長崎の出島、薩摩藩の琉球。そしてヨーロッパでは産業革命を経て、列強国が植民地を求めて海外に進出し、アフリカを分割した後、アジアを分割しようとやって来るという情報は伝わっていたのです。そのような19世紀の歴史の転換を、桜島を望むような大きな視野をもって見据え、薩摩藩は切子を作り、日本で最初のガス灯を灯したのです。その視野と歴史に出会えるのが、島津家別邸、仙巌園。
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桜島を望む 仙巌園(せんがんえん)

清輝の光

幕末・戊辰戦争の軍事力や明治・殖産興業の経済力だけが、薩摩のチカラではありません。明治になって西洋絵画を日本に紹介し、日本に根付かせた画家・黒田清輝のような文化力も薩摩のチカラです。清輝は、「外光」と言われる新しい画法を展開します。そして新たな視野の広がりが始まるのです。
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黒田清輝 アトリエ 鹿児島市立美術館

薩摩の輝き

薩摩の受け継がれた文化力。海外に輸出を目指した薩摩切子の前には、陶磁器の薩摩焼があります。黒田清輝の画法「外光」の前には、薩摩焼の加飾法「錦手(にしきで)」」があります。「錦手」は、中国から日本に伝わった技法です。ヨーロッパの伝統的な理想世界を強く輝かせる「外光」に対して、アジアの情感の世界を繊細に輝かせる「錦手」。繊細さこそ薩摩のエレガンスなのです。
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錦手籬牡丹花瓶(にしきでまがきぼたんかびん) 薩摩伝承館

縄文の輝き

鹿児島空港のある霧島市内の霧島連山や錦江湾を望む台地に、縄文時代早期前葉の国内最古最大級の定住化初期の大集落跡である上野原遺跡があります。1万年近く前から断続的に人が暮らした痕跡があります。火山灰や軽石などに埋もれた痕跡から、祈りと感謝を大切にする人たちが生活していたと考えられます。文化力は、民族や血族だけに受け継がれるものではありません。薩摩のエレガンス、その繊細さは、大いなる自然を前にする人の祈りと感謝を母とし、源としているのです。

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yasudaJALスカイアンバサダーが紹介する 鹿児島のエレガンス

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  1. 万環先生

    西洋画の光は文明を示します。少なくとも近代日本にはそう伝えられました。新しく登場した写真が、西洋画の写実性に影響を与えたことも関連します。そして西洋画で示された文明と文明性というのは、自由の理念です。古い慣習から人を解き放つ啓蒙です。近代日本では西洋画が、その役割を持っていました。

  2. 玄亀先生

    縄文の輝きは、生命の輝きです。薄暗く輝くもの。薩摩切子が取り入れた「ぼかし」の技術も同じ輝きです。近代日本の理念と、江戸日本の情緒。外からの光と、内からの光=輝き。外光はからっとして視覚的で、内光は湿度を持って触覚的。近代日本は、より外光的な都会を文明的・進歩的と考えたのです。

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